2011年10月14日金曜日

1Q84な桧枝岐をゆく


109日は桧枝岐に行ってきました。この7月末の新潟福島豪雨後初の桧枝岐漕行だったと思われます。

6時半にへたっぴカヤッカーさんと我が家を出発。東北道西那須野インターを降りて田島を通過するまでは、これまで何度も通った時と同じ風景でした。しかし舘岩が近づいてくるとなんとなく道路工事が多くなって来たことに気づきました。やがて内川の集落近くまで来ると大きな土砂崩れがあり、道路が片側通行になっていました。山肌がむき出しで、扇型に土砂がくずれており、道路をまたいで舘岩川まで土砂が流れ込んでいます。とりあえず道路の土砂を取り除いただけという感じで一応通ることはできました。その先の沼田街道を左折して桧枝岐に向かうと、さらにひどい状況の連続でした。桧枝岐川の支流というには小さく、普段は流れがあることすらわからないような小さな沢が、ことごとく大増水したらしく沢の両岸が崩れています。どの支流もV字型の直線水路のようになっていて、川底から2~3mは土砂に覆われた状態です。沢の近くでは木が根こそぎ倒れていました。流れてきた土砂は所々で沼田街道をまたぎ、桧枝岐川まで流れ込んでいます。大破した別荘や、家が流され土台だけ残った所などもありました。道の両脇にも土砂や倒木が残ったままです。小豆温泉の方に話を聞くと、豪雨のため土砂崩れがあちこちで起きて、桧枝岐村は1週間も孤立していたそうです。今も奥只見に通じる道路は通行止めのまま。今回本当は只見川上流部を漕いでみたかったのですが、とても無理な状況でした。屏風岩駐車場に行くと、大量の土砂が山積みされていました。道路から取り除いた土砂の仮置き場になっているようです。
屏風岩駐車場には大量の土砂が置かれていました

午前十時、その駐車場でDOHAさんと落ちあい、この日のメンバー三人がそろいました。さっそく着替えてゴールの双六へ向かいます。スノーシェッド途中の橋を渡った越郷沢の入口は扉が閉められていて、テイクアウトはできません。しかし、以前崖から登っていた場所のすぐ下流に、土石流が作った坂が道路から河原に続いていました。地元の方に通って良い旨の承諾をいただき、ここをゴールに設定しました。今度はスタートに戻りながらもう一度川を詳しく観察。水量は普通程度にありそうでしたが、全体に土砂で埋まって浅くなっている印象です。それに岩の配置がなんとなく違うし、岩が白く光って見えました。川砂で表面が削られてピカピカになったようです。今までと同じようで少し違う桧枝岐、1Q84の世界に迷い込んだような気分です。
さて、いよいよS字ねじり滝下からスタート。S字滝もほかの瀬と同様、底が浅くなって落差が減っている印象です。とくに二段目は険悪さが消え、ただの落ち込みのように見えました。右岸側に岩がありますが、そこに流れが当たっているという感じではなく、本流の横にちょこんとあるだけ。これなら私も行けそうな感じ!Yararenger師匠に実際に見て判断を仰ぎたいところです。スタートのプールに降りてみると、ここもとても浅くなっていました。しかしここも含めて下るのに困るほどのことはありませんでした。私がリーダーを仰せつかり、先頭を漕ぎました。ログがひっかかったり、なにか新たな障害がないか心配で多くの瀬をスカウティングしながら慎重に下ってゆきましたが、以前よりもどの瀬もマイルドになっていました。
S字ねじり滝は1段目の落差も減り、2段目も危険な感じは無くなりました。行けるんじゃないですか?

快調にとばすヘタッピカヤッカーさん

この日がバーンL進水式のDOHAさん

カエル飛びの瀬も下が土砂で埋まって落差が少なくなっていました。ただこの日の印象では巻きが強くなっている感じです。カエル跳びの手前にある岩も微妙に配置が変わっていました。その後の瀬も、岩の配置が変わったり、浅くなっていたりしましたが基本形は同じでした。ところが、イナズマドロップに来ると??です。はて、この辺がイナズマだったはずだが・・。良く見ると、イナズマ前の馬のような形の大岩は土砂に半分埋まって小さく見えていたのでした。その周囲もソフトボール大から人の胴体くらいの大きさの岩が埋め尽くしています。イナズマドロップはまったく形を変え、ただの小さな落ち込みとなっていました。色即是空、形あるものはいつか必ず形が無くなります。大地とて同じこと。地球の悠久の歴史の中ではほんの些細な変化です。ただ、かつてのイナズマドロップを漕いで最後に成功したのは南極3号さんだという事実はいつまでたっても変わりません。空即是色、南極3号さんに栄光あれ!
元イナズマドロップ、上流側より

これがあのイナズマの変わり果てた姿、時の流れは恐ろしい・・・


その後の瀬も慎重に見ましたが、リスクは減りこそすれ増えた場所は見当たりませんでした。ただ、次に増水したらどんな風になるかは全く分りません。今回、幸いにも流れの中にログはありませんでしたが、周囲の山崩れの中には大量の倒木が見られました。これがいつ本流に入ってきても不思議でない状況です。今後はどこでも障害物がある可能性を想定しながら漕ぐ必要があります。午後二時には無事ゴール着。その後はおやじ三人で桧枝岐の民宿、松源に向かいました。この宿、薬膳料理が売りです。民宿ながら地元料理のフルコース、たっぷり味わい大満足の一日でした。
豪雨後初の(たぶん)桧枝岐降下を終えたオヤジ達

桧枝岐民宿松源の薬膳料理、まだ写りきらない料理がたくさん

今回の動画はV.I.O. POV HDをヘルメットに着け撮影しました



4 件のコメント:

  1. 台風後、初めて檜枝岐に漕ぎ入られた、その勇気にまず敬服致します。自分が1番に行く気にはちょっとなれませんでした。そして、貴重な情報ありがとうございます。

    稲妻ドロップは檜枝岐クラブの青春そのもの、でしたね(言い過ぎ?f^_^;) へたっぴさんのエピソードといい、ドラマの宝庫でした。辛酸を舐めさせられたこともありましたが、最後にあの水量であのラインで下れて本当にうれしかったです。最高の思い出になりました。

    これから、ドラマの舞台はS字ねじりに移るのでしょうか?写真で見ると落差なく瀬のように見えて、行けるんじゃ?と勘違いしそうです。以前、ヤラレ先生が「S字は滝じゃなく瀬なんです。瀬に見えてきたら行けます。」と言ってましたけど。早く生で見たいー!

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  2. 南極3号さん、コメントありがとうございます。まさにあのイナズマは青春でしたね。時間を止められないのは人の世の常です。S字ねじり滝は滝壺が浅くなっているようなので、その分がマイナスに働く可能性もあるかなとは思いますが、なんだかスムースに下れそうな気がしています。ぜひ生で見てください。

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  3. S字ねじり行きたいですねー。仙人はいけるのではないでしょうか?最近は度胸もついて漕ぎが落ち着いてますからねー。
    もっと水が減ったら全貌が見えますからそれから考えましょう。

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  4. 何をおっしゃる、まだまだですよ。ただS字ねじりは滝壺が浅くなったので、むしろあれ以上水が減ったら危険ではないかなとも思います。あの日はヤリ頃だったのではと後悔しています。今度チャンスがあったら行ってしまうかも。

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